【ざっくりおまとめ】設置にはおおむね半年から1年!「自家消費型太陽光設置までのステップ①」
太陽光
2023/05/25
自家消費型太陽光発電システムの設置までのステップをざっくりご紹介!
自家消費型太陽光発電の設置までには多くのステップがありますが、今回は工事着工までをざっくりと紹介いたします。
○STEP 1:施工業者選び➡︎施工業者選びがスムーズな設置を実現するための最重要ステップです。
まずは、施工を依頼する施工業者選びです。
近年、特にカーボンニュートラルの推進が世界規模で注目を集めている背景もあって、太陽光の施工業者数は増えています。
施工業者は、業界ではEPC事業者とも呼ばれます。
EPCとは、E=設計(Engineering)、P=調達(Procurement)、C=建設(Construction)の頭文字をとった略称です。 この3つを一括して行っている事業者をEPC事業者と呼びます。太陽光発電事業におけるEPC事業者とは、太陽光発電所の設計から、機器や部材の調達、パネル設置工事や電気工事などの施工管理、施工後のメンテナンスまでを行う事業者を指します。EPC事業者は、お客様に代わって、電力会社とのやりとりや補助金申請の書類作成も含め、すべての工程の間に入り、太陽光発電システム導入の支援を行なうため、設計・調達・建設をワンストップ対応することができます。
EPC事業者を選ぶポイントは次の4つです。
以下のポイントをしっかりチェックした上で、迅速な対応やこちらの要望をしっかりと聞いてくれる事業者を選ぶといいでしょう。
①自家消費型太陽光発電の施工実績があるか
自家消費型太陽光発電は、設計や施工の難易度が高く、野立ての太陽光発電とは求められる技術が異なります。例えば、逆潮流を防ぐためのRPR(逆電力継電器)、地絡事故を検出するためのOVGR(地絡過電圧継電器)、キュービクル改造など、まだ対応できる業者が少ないのが現状です。安心安全を前提とした設備の長期的な安定稼働のためには、自家消費型太陽光発電の施工実績がある業者を選ぶとよいでしょう。
②発電量やコスト削減効果のシミュレーションができるか
設置場所や屋根の面積・方角・形状などから、導入できるシステム容量、年間予想発電量、電気代削減効果などをスムーズに提示できる業者を選ぶとよいでしょう。また、自家消費型太陽光発電の場合、施設の屋根上に太陽光発電を設置するケースが多くなるため、建物の強度を計るための構造計算も必要です。
③コストに関して詳細な内訳が提示できるか
自家消費型太陽光発電システムの導入時に、国や自治体からの補助金を活用できる場合があります。
お客様の立場で適切な補助金の提案ができるかどうかも、EPC事業者を選ぶ際には重要です。
また、事前にリスクの説明や、予期せぬトラブル時の対応やサポート体制、追加費用についても確認しておくとよいでしょう。
④メンテナンス(保守・管理=O&M)ができるか
自家消費型太陽光発電は、改正FIT法や電気事業法によって、50kW未満の非FITの太陽光発電所を除き、すべての太陽光発電所においてメンテナンスが義務付けられています。そのため、設置後のO&Mを見据えた提案ができる業者を選定することも重要です。
定期的な点検と適切なメンテナンスは、早期の異常発見・対応が可能となり、トラブルを最小限に抑えることが可能です。また、メンテナンスの中には必須のものから設備によっては不要なものまで様々あるため、お客様の設備の状態やご要望にあったプランを提案してくれるとよいでしょう。
○STEP 2:見積書の依頼➡︎適切な見積もりを得るためには、情報の共有がとても大切です。
自家消費型太陽光システムの開発事業を担う施工業者を決定したのち、施工業者へ相談し見積書の作成を依頼します。
施工業者は、太陽光発電導入の目的や希望などをヒアリングした上で、現地調査をした後に、見積書を作成します。見積書の提出までは、ほぼ施工業者の作業となりますが、現地調査によって太陽光パネルの設置場所、方位・角度、設置方法、パワーコンディショナーといった周辺機器など最適なシステムを検討し、パネル配置図、デマンドデータ、予測発電量シミュレーション、表利回り・償却年数、事業収支シミュレーションなどを行い、システムの提案とシミュレーションおよびメンテナンス等の事業計画を盛り込んだ見積書を制作します。もし、助成金や補助金の活用をお考えの場合は、この段階でしっかりと意向を伝えておいてください。平均的には見積もりの作成には約1ヶ月ほどを見込んでおくとよいでしょう。
このとき、見積もりの総額とも大きく関係するのが予測発電量と事業収支のシミュレーションです。
このシミュレーションをできるだけ精緻に行うために必要なのが、実際の電力使用料金や消費電力量などのデータの共有です。自家消費型太陽光発電システムは、どんな企業や事業にも‘最適’というものはありません。
自社にとっての「最適とは・・・」という‘目指す効果の基準’を施工業者と共有することが何よりも大切です。
○自家消費型太陽光発電システムの発電量シミュレーションに必要な書類
発電量のシミュレーションをするには下記書類を用意して施工業者に提供するとスムーズです。
電気料金の削減効果・費用対効果・投資回収・導入費用など、より正確に算出するために必要な書類リストを下記にまとめておきます。用意が難しい場合でも、概算でのシミュレーションは可能です。どの書類が必須なのかを施工業者とすり合わせましょう。
●24時間時間帯毎の消費電力 (過去1年間の30分値デマンドデータ)
●単線結線図(キュービクル~負荷)
●設置場所となる施設の建築図書(屋根図面・屋根材仕様・電気設備容量など)
○STEP 3:見積書の精査➡︎何を設置するのか…スケジュールは…金額は…基礎知識の充実を。
施工業者より提出された見積書を精査するとき、基本的な知識があるのとないのとでは投資金額に大きな違いが生まれます。決して施工業者の提案にケチをつけるという姿勢で臨まないように留意しておくことが必要です。
標準的な仕様ではない箇所・金額に関しては、必ず質問を投げかけましょう。多くの場合、その箇所に特別な仕様や金額をかけている‘理由’があり、それは稼働を始めてからの保守・管理、メンテナンスにおける注意ポイントとなることが多いためです。
ここで、ごく標準的に必要なシステムの構成内容・設置に必要な面積・設置費用の目安をご紹介しておきます。
【産業用太陽光発電のシステム構成】
太陽光発電システムは以下のような要素で構成されています。
●太陽光パネル:太陽光エネルギーを直流電力に変換するパネル。ソーラーパネル、太陽電池、太陽光発電モジュールとも言います。
●パワーコンディショナー:直流電力を建物内で使用できる交流電力に変換する装置。
●架台:太陽光パネルの設置台。
●接続箱:太陽光パネルごとに発電した電気をまとめ、パワーコンディショナーに送る機器。
●分電盤:配線用遮断器や漏電遮断器などが集合して取り付けられた電気設備。
●受変電設備:高圧の電気を実際に使用できる電圧に変換する設備。電力需要が50kWを超えることが見込まれる施設では、キュービクルと言われる金属製の箱の中に収納して設置されます。
●遠隔監視システム:システムの稼働状況や発電量などを24時間365日遠隔間からチェックするシステム。
●気温計・日射計:発電効率を知るための機器。
●電力メーター:発電した電力を商用電力系統へ売電する時の売電量を測定するための売電メーターと電力会社からの買電量を測定するための買電メーター。
【設置場所と設置に必要な面積について】
産業用太陽光発電に必要な面積は、出力1kWあたり10~15㎡といわれています。
1㎡あたり0.067~0.1kWのソーラーパネルを設置できる計算です。
つまり、出力10kWでは100~150㎡、50kWで500~750㎡、100kWで1,000~1,500㎡程度の敷地面積が目安として必要になります。
福祉施設・・・20~30kW(200~450㎡)
チェーン店店舗・・・・50~100kW(500~1500㎡)
工場(中小規模)・・・50~100kW(500~1500㎡)
工場(大規模)・・・・100~200kW(1000~3000㎡)
スーパーマーケット(中小規模)・・・100~200kW(1000~3000㎡)
スーパーマーケット(大型店舗)・・・200~400kW(2000~6000㎡)
【自家消費型太陽光発電の設置費用】
自家消費型太陽光発電システムは、すべてのシステムがオーダーメイドとなるため、設置費用も一概に相場を決めることは困難なのですが、おおよその目安として費用をお知らせします。
自家消費型太陽光発電システムの平均的な費用相場は、1kWあたり18~25万円程度です。
このなかには、太陽光パネルやパワーコンディショナーのような機器の本体価格だけでなく、工事費や設置用の部材費、屋根・地面に架台をしっかりと固定する基礎工事なども含まれています。
もっともご相談が多い、‘工場の屋根上に太陽光パネルを設置するケース’を見てみましょう。
例えば、屋根上に100kWの太陽光パネルを設置する場合、1,800~2,500万円程度が費用相場となります。
設置容量は、事前に現地調査し、建築図面・構造計算書などをもとにシミュレーションを行なった上で決定します。一般的に設置容量が少ないほうが設置容量1kWあたりの単価があがる傾向があります。
○STEP 4:国や自治体への申請➡︎経験豊富な士業とのアライアンスの有無がスケジュールに影響。
見積書の精査を通して確定させた、事業計画を作成してもらったら、続いて各種の申請作業に入ります。
申請作業はほとんどの場合、施工業者にお任せすることが多くなりますが、経験や得意分野を持つ複数の行政書士などの先生や事務所とアライアンス(提携)を組んでいるかどうか、によってスケジュールが大きく変わる可能性がありますので、確認しましょう。
補助金などは、工事対象となる地域の自治体に申請する必要があるケースも多く、場合によっては地元の税理士や行政書士に依頼した方が許認可を取り付けやすいこともあります。スケジュールも縮小することが可能なこともあります。
ほとんどのケースで申請する項目と契約の項目としては「電力接続検討の申込」「事業計画認定の申請」「補助金申請(活用する場合のみ)」「工事請負契約」など必要に応じて手続きを踏むことになりますが、特に国や自治体への申請の場合は認可・許可が降りる目安の日程を把握しておくことが大切です。
○STEP 5:工事着工➡︎電気工事に関しては、基本、認可が下りないと着手できません。
各種の申請に続いて、いよいよ工事に着手されます。
工事は、設置場所の条件に合わせた設置工法で行うため、工期は工法・規模により異なりますが、基本的には、パネル設置工事、電気工事と順に進行していきます。
電気工事に関しては、基本的に認可が下りないと工事に着手できないのですが、設置工事や設置箇所の補強工事などは申請と並行して着手することがほとんどです。
電力会社への申請、補助金申請に関する書類作成や申請手続き、事業計画認定の申請手続きなどは、基本的にはすべて施工業者が代行しますが、電気工事の際には全館停電など、通常営業に影響が発生する期間が必ずあるため、警備会社への連絡など自社で行うべき事項を忘れずにスケジュールに盛り込んでおくことをオススメします。
○まとめ
今回は、自家消費型太陽光システムの導入の「工事着工」までのステップをざっくりと紹介しました。
この後に「完工検査」などのステップがありますが、それについては、2023年度から新たに完工検査で必須となったものなど制度改訂もあったので、別の記事で解説させていただきます。
あらためて、自家消費型太陽光システムの導入をスムーズに行うには、何よりも信頼できる施工業者選びが重要です。
実績はもちろんのこと、申請したい補助金や助成金の申請に強いかどうかやスケジュール管理がしっかりとできるかどうか、それにわからないことを尋ねても、ちゃんと丁寧に答えてくれるかどうか等、相性も鑑みて選ぶことを推奨します。
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